第11章 イカれた世界
腕の中にいる女は教会で会った時より蒼白く、黒い服から出ている足と腕も折れそうなほど細かった。
夢で見た椿もまた、最後はこんな姿になっていた。
「直哉さん、五条家に連絡しますか?」
連れて来た炳部隊の隊員が、車から救助した五条家の花嫁を気遣って直哉に問いかけた。
「五条悟に直接渡すよりはマシやな。」
椿を襲った呪詛師もどきも片付いているようだ。
ここで五条家に恩を売るのも悪くない。
そう思いながら、直哉は椿を見た。
自分が何故椿を追っていたのか思い出す。
あの奇妙な夢を椿に確かめるためだった。
椿は何故か執拗に直哉を避けていた。
最初は理由も分からず苛々したが、あの夢を見るようになってから、ふと、椿も同じ夢を見ているのでは無いかと思った。
そして、先ほどの椿の言動でそれは確信に変わった。
椿は自分が夢の中で彼女を殺したことを知っている。
不可解だった椿の態度がやっと理解できた。