第11章 イカれた世界
京都の市街地を抜けるにつれ、車窓を流れる景色から高い建物が消えていく。
行き交う車も人の姿も次第に減り、道の両脇には深い緑が目立つようになった。
さらに山際へ進むと、いつしか民家さえ途切れ、車は木々に囲まれた細い山道へと入っていく。
鬱蒼と生い茂る木々が空を覆い、昼間だというのに車内へ差し込む光は薄暗い。
(五条家にしろ禪院家にしろ、何で山奥なのかしら。)
ここからは景色もさほど変わらない、緑が続いていく。
窓の外を見ながら、椿は深いため息を吐いた。
「車酔いは大丈夫ですか?まだまだ時間がかかります。」
「……大丈夫よ。」
椿は眉間を指で押さえた。
運転手の言葉で、自分が険しい顔をしているのだと気が付く。
最近眠れておらず、体調は悪い。
夢の中でもこんな体調が続いた日の後に、直哉に殺されたことを思い出す。
痛む頭を押さえていると、急に山中が薄暗くなった。
「あれ?急に視界が…。」
運転手の言葉で椿は窓の外を見た。
帳が下りていた。
椿の心臓の鼓動が強くなった。