第9章 よくない変化
「これからは、僕が椿しか目に入らない滑稽な男に映るだろう。」
そう言って悟は椿の額に唇を落とした。
椿はそんなこと望んでいないと、口を開いた。
すぐに悟の唇が、その口を塞ぐ。
悟の舌が絡まり、椿の言葉を飲み込むと、ゆっくりと離れた。
「許しも、気にしていないとも言わないで。」
「……………。」
その言葉は、悟を傷付けるだけのものだ。
「ただ一言、僕を怒って。」
縋るように椿に言葉を促す。
悟が何を望んでいるのか分かる。
彼は椿に関心を持ってもらいたいのだ。
椿は青い目が真っ直ぐに自分を見てくるので、息を飲み込んで一度言葉を押し込めた。
これを言ってしまったら、二人の関係が変わってしまいそうで。
彼はきっと、もう自分の駒になってくれないだろうと思った。
だけど、吸い込まれそうなその青を宿したその顔が、実際の歳よりも幼さなく感じて必死に見えたから、椿は体を起こして悟の胸に手を置いた。