第4章 因縁の残火
カッ。
ドォォォォォォォンッ!!!!!
炸裂弾は煉獄の船尾に直撃し、轟音とともに巨大な爆炎を巻き上げた。
炎が一瞬だけ海を赤く照らし、黒煙が空を覆う。
四人は爆風に煽られながらも、目を見張った。
志々雄の口元だけが、逆に静かに歪む。
「…直接的には、あの男の意外性にしてやられた。だが」
志々雄は、ゆっくりと剣心・斗亜・斎藤の三人へ向き直る。
炎を背負い、黒い外套が翻った。
「この二重作戦を逸早く見破り、“煉獄”の位置を突き止めた緋村抜刀斎の読み」
底冷えする声で続ける。
「警察の機動力と人員を駆使し、事前策を整えた斎藤一の判断」
ギリッ、と拳を握る。
「そして…こいつらを甘く見ていた、この俺、志々雄真実の“隙”が最大の原因だ!!」
怒りに満ちているのに、どこか楽しそうな声音だった。
「あ…俺は無視ですか…」
斗亜はぽつりと呟く。
だが志々雄は続けた。
「煉獄一隻は確かに高い代償だ。だが、わかったことが一つある」
炎が背後で轟き続ける中、志々雄は不気味なほど穏やかに言い放つ。
「この国を盗るには、まずお前ら四人を“確実に葬る”必要があるということだ」
その言葉に、甲板の風が変わった気がした。
コツ…コツ…。
軽い足音が志々雄の背後から聞こえた。
「志々雄さん。新月村の決着、やっぱりつけます?」
優しく微笑む瀬田宗次郎が、煙を裂くように姿を現した。
「「「(瀬田宗次郎ッ!!)」」」
剣心の瞳が細くなり、斗亜は無意識に喉を鳴らす。
斎藤でさえ、わずかに眉を動かした。
宗次郎は首を傾げ、小さく笑う。
「ただし?」
「ただし、だ」
志々雄は宗次郎へ向けゆっくりと言葉を紡ぐ。
「決着をつける相手は一人とは限らん」
風が凪ぎ、甲板の空気が一変した。
剣心の背筋に、冷たいものが走る。
斗亜は刀に、そっと手をかける。
斎藤は牙突の構えに自然と入っていた。
「じゃあ…三人まとめて、ってことかな?」
宗次郎はニッコリと微笑み、言った。
その瞬間、甲板の温度が一気に下がる。