第13章 あの頃の話
◇◇◇
「ノルバートくん、また勉強してる」
「いや、たいして出来てはないよ……」
「俺たちとももうちょっと遊ばんかい?」
「……いいの? 僕が混ざっても」
仮面浪人する気で入学した高等学校にも、様々な種族がいた。
オーデンからきつくいわれていたおかげで、どうにか大きな問題は起こさず、少しずつ友人ができていった。
正直、楽しかった。
慣れてしまうと驚くほど、ここは息がしやすい。
でも。
人馬が、魔獣や異種族が、首輪をつけられることなく暮らす国。
普通に、学者として。生徒として。市民として。
いくつかの季節がすぎた頃、ノルバートはもう、自分が犯している矛盾と罪悪感でぐちゃぐちゃになっていた。
帰って、あの家で、またあの人間だけの社会の中で、杖を振るう事。
それが、ヴェルツ家に生まれた者の責任で……。
故郷にいた、人間種から外れた血筋の召使い達のことを思い出す。
身分の低い者へも丁寧に接するように、と徹底した教育は受けていた。虐待も当然ながら不道徳な行為という社会的認識はあった。だが、今思うとほとんどまともには権利を持たない人たち。
彼らも元は、こういう国から来たのだろうか。
考え込めば考え込むほど、友人達の顔をまっすぐに見れなくなった。
こちらで堂々と生きたいのなら……何か、けじめをつけなければ。
そう思った。