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閉店屋の恋は進まない

第11章 少しずつの勇気


 い、言っちゃった言っちゃった……!

 綿の柔らかさに顔を埋める。その格好のまま、起き上がったり寝転んだりを繰り返す。

 でも、ひっこめちゃったし!!

 学生寮の支給品の寝具は灰色だが、寮生たちは各々で好きな色に変えている。
 今、シシィが抱きしめている枕のカバーだって、縁のふわりとした飾りのかわいい、入学したてにお小遣いで買ったお気に入りだ。しかし、そんなひらひらも、今日ばかりは持ち主と一緒に変な角度によれついていた。

 ほんと、もう……

 なにしてるの。わかんない。

 彼が今日、自白してきた話は、確かにあんまりいいことではないのかもとはシシィも思った。でも、ああやって真面目に気にするところはやっぱり好きだから、正直なところ、事後報告をされる分にはわりと大丈夫だった。

 それより!!

 言った途端に怖くなって有耶無耶にしちゃったの、なんで?? ……てか、あれ、ほんとに誤魔化しになってた? それもわからない。

 ━━えっ。

 明らかに上擦った声。耳を触る手。

 くっきりと思い出してから、……わかってる、と口の中でつぶやく。
 あのひと、みんなといる時だって、恋愛とかの話題出ただけで赤いもん。

 でも、ちょっとでも意識してくれてたり、とか……。

 そこまで考えてまた恥ずかしくなる。

「あーーっ! もう!」

「どうしよう〜〜! 明日も会うのに、あのせいで変な子だって思われてたら……! いまさらかもだけど!」

 一人で抱えていられなくてつい談話室に降りたくなってしまうが、こんなのひとに言えるわけもない。
 何かしたいような、でも怖いような、そわそわが抑えきれず雑誌を手に取る。

 開いたのは最近よく読んでいるヘアアレンジの特集ページだった。
 秋の服に合わせるための、ふわふわとした編み込みが大きく載っている。

 あ。

 ちょっとでも彼と会う時の自分をかわいくしたくて、何度も練習してできるようになったのに、外にしていく勇気が出せないままのこのアレンジ。いつか買ったのにつけられてない透き通ったリボンも。

 シシィは起き上がった。

 これ、明日の朝、やってみようかな……?
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