第6章 氷の家
王と貴族が政を行う、遠い雪国。
ヴェルツ家は、氷魔術に長け、国の法で管理するべきと定められている生物の捕獲、駆除や国家要人の護衛などを任される古い家柄だ。
次男のノルバートは十五歳を迎え、優秀な三つ上の兄と同じ名門校に通う…はずだった。
「っ だめだ……」
何度自己採点しても、点数は足りなかった。
能力的には入学できる、と家庭教師にも言われていたのに。
本番に、緊張で手元が震えてしまった。
試験直後の合否が出る前、兄、オズバートは一度帰省してまで気にかけてくれた。
「そう塞ぐなよ、ノル」
「兄さん……」
「もしダメでもさ、ノルなら実力さえ出せれば絶対に上位に行けるの一番俺が知ってるよ。まだ決まってないし、もし万一でも来年もあるんだから。大丈夫、元気出せよ」
日がさして、金の髪が昼の光をよく受けて輝く。その色違いの笑顔は、ノルバートにはいつも眩しすぎた。
奇跡は起こらず、不合格の手紙を受け取った。
その翌日だった。
「父さん」
「ああ、少し話があってね、座りなさい」
父はノルバートに椅子を勧め、口を開いた。