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短編

第1章 五条悟


【風水】


「悟、今日は水回りを綺麗にするよ」

「水回り?」

「風水では大事なんだって」

「じゃあ僕、応援係ね」

「手伝って」

「えー」

そう言いながらも、五条は腕まくりをした。

「で、何すればいい?」

「洗面所をお願い」

「了解。最強に任せなさい」

数分後。

「終わったよ」

「早っ」

「僕にかかればこんなの余裕」

ロロが覗くと、洗面台だけではない鏡までぴかぴかになっている。

「悟、すごい」

「でしょ?」

褒められた五条は、あからさまに嬉しそうだった。

「じゃあ次、寝室」

「寝室は何するの?」

「ベッドの向きを変えるの。風水的にー」

「却下」

「え?」

「今の配置、ロロが隣にいると一番よく眠れるから」

「…風水より重要?」

「当たり前じゃん」

五条は当然のように言った。

「僕、最強だからさ。運気とか気にしなくても大丈夫」

「じゃあ、なんで手伝ってくれるの?」

「ロロが幸せそうだから。それに」

五条は少しだけ声を落とす。

「ロロと一緒に、もっと良い場所にしようって考えるの、結構好きなんだよね」

ロロが笑う。

「じゃあ、次は玄関」

「はいはい」

「その次はリビング」

「まだあるの?」

「いっぱいあるよ」

「仕方ないなぁ」

そう言いながら、五条はロロの隣に並んだ。風水で運気が上がるかなんて、五条には分からない。けれど、2人で家具を動かして、笑って、疲れたら一緒に休む。そんな一日が増えるなら。五条にとっては、それだけで十分に幸運だった。
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