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SW異銀河から落ちてきた言葉の通じない謎の親子を保護しました

第5章 別れ、そして銀河の彼方へ


ディンの決意を聴き、星子は少しだけ寂しそうに、でもどこか誇らしげな気持ちで微笑んだ。
「そっか……。ディンがそう言うなら、私は二人の行く道を応援するよ。残りの二ヶ月、最高の思い出をたくさん作ろうね」
星子の言葉に、ディンは優しくヘルメットを傾けた。


そこからの二ヶ月間は、まるで砂時計の砂が落ちるように、切なくも愛おしい日々の連続だった。

季節は三月から四月へ。
冷たかった緑川市の風が少しずつ緩み、裏山のふもとには淡いピンク色の桜が咲き誇り始めていた。
ディンは相変わらず地元の農家のお手伝いを続け、近所の人たちから「ディンさん、本当に帰っちゃうのかい? 寂しくなるなぁ」と何度も肩を叩かれていた。
言葉は完璧に通じなくても、ディンがこの街に遺した誠実な足跡は、しっかりと人々の心に刻まれていた。

そして、グローグーの日本の食い倒れ(?)生活も、いよいよラストスパートに入っていた。

星子は週末になるたび、二人を車に乗せて様々な場所へ連れて行った。
外出先で食べるアイスクリームやお菓子、その土地の食べ物。
そして、わざわざグローグーの為に用意したたこ焼き器で焼いたお家たこ焼き。
グローグーは出されたお皿を小さな三本の指で引き寄せ、大きな耳をピンと立たせて「ぴゃーぁ!」と大喜びしながら、相変わらず美味しそうに一口で丸呑みしていった。

コタツの布団の上で、口の周りを満足そうに舐めて「クルルル」と喉を我が子を、ディンは黒いフードの奥から、いつもと変わらない父親の優しい眼差しで見つめ続けていた。

夜の居間。
ローテーブルでの日本語レッスンも、終わりを迎えようとしていた。
最後はディンに自由に文章を作ってもらうことにした。
テーマが欲しいと言われたので、ディンが元の世界に戻った時に最初に言う言葉と指定してみた。
ディンは随分整った字でノートのマス目に『グローグーはおれのむすこだ。てをだすな。』と力強く書き込み、それを星子に見せて静かに頷いてみせた。
「うん、完璧。ディンは本当にグローグーが大事なんだね」
星子が少し声を詰まらせながら笑うと、客間のふかふかの布団の上で丸くなっていたグローグーが、「んぅー?」と眠そうに首を傾げた。

そしてついに、約束の二ヶ月が過ぎ去り、空間の歪みが閉じる運命の「四月末の夜」がやってきた。
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