第1章 夏灯りの約束
「恵、もっと肩の力を抜いて」
「はい」
穏やかな声音につられて、自然と肩の力が抜ける。
「少し軌道が右に逸れがちだから、狙うなら左寄り。中央じゃなくて、頭を狙った方が倒れやすい」
「分かりました」
言われた通り、狙いを修正し、深く息を吐き出した。そして、引き金を弾く。
放たれたコルクがやや右に逸れ、ちょうどカエルの頭に命中する。グラッと大きく揺れ、そのままコロッと後ろに転がった。
「……倒れた」
「メグ、すごい……!」
店主から景品を受け取り、パチパチッと拍手をしてくれる詞織に渡す。
「星也さんのおかげだろ。星也さん、ありがとうございました」
礼を言うと、星也は「恵が頑張ったからだよ」と頭を撫でられた。星也が射的でとったラムネのタブレットとキャラメルは星良と津美紀が持っている。
「メグ、ありがとう」
詞織が伏黒の浴衣の裾を引いてきた。
振り返れば、大事そうにカエルのぬいぐるみを抱えている。伏黒は達成感と共に、「あぁ」と少し口角を上げた。
* * *