第25章 魔術師と護衛編
自分が今の状況をもたらしてしまっているのだが、ルドガーはいつもあなたを支えてくれている。
自分は、わがままだと思うことも多々あった。魔術だってそうだし、守護者のことだってそうだ。
それになにより、自分について説明できないことも、ずっと引っかかっている。
「ルドガー。最近催眠術を使ってみて、記憶について考えることがあるんだ」
あなたが切り出すと、背後のルドガーが、静かに喉を鳴らす音が聞こえた。
あなたは彼の瞳を見ずに、正面の水辺を眺めながら告げた。
「前に求婚してもらったときにも、聞いたけど。……私の過去がもし……あなたを驚かせることになったら……」
そう言うと、自分のお腹を支えるたくましい腕に、少し力が加わった。
「もしあなたを悲しませたら……どうしよう」
昨日話したときとは違い、胸が苦しくなっていく。
ルドガーは居ても立ってもいられず、あなたの体を自分に向かせた。
そして金色の透き通った瞳が、まっすぐと一人だけを映してくる。
「前にも言ったな。俺はお前がどんな奴でも、構わない。それは今でも変わっていない。ずっと変わることはない」
あなたの瞳が頼りなさげに揺れる。
「……本当? ものすごい悪い奴でも?」
「どうしてそう思う? お前は悪い奴じゃないぞ。俺には確信がある。……それに記憶を失う前のお前がもし、悪人だとしても関係ない。俺はお前を愛している。そんなことでこの愛は、誰にも取り上げられないんだ」
ルドガーがそこまで切迫した表情で断言してくれて、あなたはまた徐々に安堵を得る。
「あなたを失うのが怖いの」
「……お前は俺を失ったりしない! 絶対にだ、!」
ぐっと抱きしめられて、彼の不安も伝わってきた。
最近はずっと、どこかで互いにそんな思いが過っていたのかもしれない。
「わかった……信じるよ」
「ああ。俺を信じろ。それでいいんだから。いつも一緒だぞ、俺たちの合言葉だろう?」
頭を優しく触られて、彼の胸元に顔をこすりつける。
あなたはただ静かになった胸騒ぎを、胸の奥深くにしまいこんだ。