第18章 選んだ道
赤髪のナザルは、敷地内の芝生にある小屋の前に立っていた。
日に焼けた筋肉質な体に柄シャツを羽織り、騎士団には不似合いなアクセサリーを身につけている。
サングラスを頭にかけた彼は、茶色い瞳で看板をじっと見つめた。そこには、あなたとルドガーの小屋であることが記されている。
「なんだよこれ、くっだらねえな⋯」
鼻で笑ったあと、しばらくして小さくため息をつく。
そして踵を返すと、白いズボンのポケットに両手を突っ込み、飄々と目的地へ向かっていった。
そんな彼と本部棟の廊下で出くわしたのは、機嫌よさそうに歩いていたあなただ。
「あれっ、ナザルさん! こんにちは〜。どこ行くんですか?」
「団長室だよ。あんたは?」
「私もですよ。一緒に行きましょうよ」
明るく誘うと彼はにこっと気の良い笑みを浮かべた。
「ちょっとしたデートみてえだな。へへっ、。邪魔な奴らがいないって最高じゃねえ?」
「もうナザルさんってば。普通に喋れないんですか?」
「喋ってんじゃねえか。なんだよ、2人きりでもあんたを口説くの禁止か?」
「当たり前でしょう。私は普通にお話したいんです、あなたと」
びしっと小柄な体で向き合うと、彼は愉快そうに笑っていた。
「俺と普通に話したい女なんていねえよ。女が俺に用があるのは俺のカラダだろ?」
「あっそうですか。私は違います。ナザルさんとお友達になりたいから」
もう彼の口ぶりに慣れていたあなたが微笑むと、彼は怪訝に眉をひそめた。
「変なやつだな。俺と友達になってどうすんだよ。俺は女友達っていううさんくさい言葉が大嫌いなんだよなー」
妙なこだわりがあるところはルドガーみたいである。
「そういやさ、。あんたすげえな。獣のルドガーとあんなに長く一緒にいたんだろ? 何が面白いわけ?」
にやにや尋ねられたけれど、あなたの顔つきは勝手に緩んでいく。