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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第1章 【アレン番外編】それでも、君が笑うなら



やがて、ラビが深く息を吐いた。


「……昨日」

低い声。


「に、ちゃんと聞いた」

アレンは静かに視線を上げる。


ラビの顔は驚くほど真剣だった。

軽口も、誤魔化しもない。

ただ、一人の男の顔だった。


「オレと、一緒にいたいって」

掠れた声。


「言ってくれた」

胸が痛む。

けれど、怒りは不思議と湧かなかった。


アレンが静かに目を伏せると、ラビはきまり悪そうに頭を掻いた。


「……だから、その」

少し言葉を探して、ぽつりと呟く。


「報告、しにきた」

不器用な言い方だった。

けれど、アレンには分かっていた。


ラビは逃げずに来たのだ。ちゃんと、自分の足で。

アレンはしばらく黙っていた。

やがて。


「……を泣かせたら、殴りますからね」

真顔で言った。

ラビが目を瞬く。

次の瞬間。


「……ぶはっ、怖っ!」

吹き出した。

アレンも少しだけ笑う。

けれど、すぐに真顔へ戻った。


「本気ですよ。左手でいきます」
「うわ、容赦ねぇ……」

ラビは苦笑したあと、静かに目を細める。


「……分かってるさ」

低い声だった。

その眼差しを見て、アレンは思う。

あぁ。この人も同じだったのだ。

失うのが怖くて。それでも、どうしても手を離せなかった。

きっとは、そんなラビの手を選んだ。
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