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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第7章 【番外編】中身にご注意


追いかけると、妙に弾んだ男の声が聞こえてきた。


「おや? ティファ君じゃないか」

書類の山を前にしていたペック班長が、ちょうど顔を上げたところだった。


ペック班長は以前から、顔を合わせるたびに何かと馴れ馴れしく話しかけてくる男だった。

私はいつも当たり障りなく受け流していたけれど、今、私の姿で彼の前に立っているのは神田だ。


「検査はもう終わったのかい?」


神田は答えず、そのまま前を通り過ぎようとする。


「今日は随分とつれないんだな」

ペック班長は仕事の手を止め、椅子から立ち上がった。


当然、彼には中身が神田だと分かるはずもない。


銀髪とアイスブルーの瞳を眺めるように、視線がゆっくりと動く。

胸元から脚へと辿るように落ち、再び顔へ戻った。



神田の目が、僅かに細くなる。


「そんな怖い顔をしなくてもいいじゃないか」

ペック班長は苦笑しながら、神田の前へ回り込んだ。


「どけ、邪魔だ」

ペック班長は神田の冷たい返答を聞き流し、続ける。


「だが、そういう顔も悪くない。それに――」

肩から流れ落ちる銀髪へ、目を細める。

「相変わらず、綺麗な髪だ」



ペック班長が、馴れ馴れしく手を伸ばす。

その指先が銀髪へ触れる直前、神田が手首を掴んだ。

「え――」


神田は掴んだ腕を捻りながら、素早くペック班長の背後へ回り込んだ。


体勢を崩されたペック班長が前のめりに膝をつく。

そのまま腕を背中へ回され、うつ伏せに床へ押さえ込まれた。


「いだだだだっ! ティファ君!?」


「二度とこいつに触ろうとすんな」

私の声なのに、聞いたことがないほど冷たかった。



体格も重心も違うはずなのに、神田の動きには少しの迷いもない。

身体が変わっても、積み重ねた戦闘の勘までは失われないらしい。

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