【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第1章 【アレン番外編】それでも、君が笑うなら
リナリーはしばらく黙っていたあと、小さく口を開く。
「……アレン君は、優しいね」
「そんなことないですよ」
苦笑が漏れる。
「僕だって、そんな出来た人間じゃありません」
「ううん」
リナリーは静かに首を横へ振った。
「本当は、すごく苦しいはずなのに」
アレンは言葉に詰まる。
苦しくない訳じゃない。
悔しくない訳でもない。
本当は、諦めたくなんてなかった。
でも、昨日のティファは、どこか救われたみたいな顔をしていた。
その顔を見てしまったから。
自分の独占欲も、未練も、全部ぐちゃぐちゃに溶かされてしまったのだ。
「……ティファが、自分で決めたことだから」
掠れた声で、アレンは呟いた。
「だったら、ちゃんと笑っててほしいんです」
リナリーの瞳が、少しだけ揺れる。
やがて、彼女は小さく笑った。
「そっか」
それ以上、何も言わなかった。
けれど、その沈黙が、今のアレンには少しだけありがたかった。