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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第5章 【番外編】騒がしい休日



――その瞬間。

二人の男が、同時に固まった。



一人は、つい先ほどまでリーバー班長へ必死に言い訳をしていたコムイさん。

そしてもう一人は、私の隣に立っていたラビ。


「……今、なんて!?」

コムイさんの眼鏡が、鈍く光った。

「リナリー……もう一度、言ってごらん?」


「え? だから、ティファが男の子だったら――」
「なんてことだ……!」

コムイさんが、がばりと頭を抱えた。

「僕は、とんだ思い違いをしていた……! 街の男たちからリナリーを守ろうとしていたが……!」


彼は、わなわなと震えながら。

ゆっくりと、こちらを指さした。


「本当の脅威は……こんなに近くにいたのか……!」

「え、ええ!?」

リナリーが、ぎょっと目を見開く。


まさか、ただの冗談がこんな騒ぎになるとは思っていなかったらしい。


「ち、違うわよ! これは、その、女の子同士の褒め言葉というか……!」

慌てて弁解するリナリー。

私は思わず苦笑した。


その隣では。
コムイさんが破壊されたコムリンの残骸へ取り縋り、さめざめと泣いている。

「本当の脅威が……身内に……!」


そして、その横で。
ラビは明らかに虚を突かれた顔をしていた。


ナンパ男が相手なら、きっといつものように軽口を叩きながら牽制でもしたのだろう。

けれど今回の相手は、リナリーだ。


仲間であり、私の大切な友人で、しかも同性の少女。

どう反応すればいいのか、本気で分からないらしい。


「……なぁ、ティファ。一応、聞くけどさ」

ラビが、やけに真剣な顔で口を開いた。


「何?」

「ティファは……その、男が好きだよな?」
「……藪から棒に、何を聞いているの」

「いや! 大事なことだろ!?」


ラビは片手で口元を覆い、深刻な表情で続ける。

「もし万が一、ティファがリナリーみたいなタイプに、こう……うっかり、ってなったら、オレどうすりゃいいんさ」

「ならないわ」
「言い切れる!? 本当に!?」


もはや嫉妬というより。

完全に、不安の暴走だった。

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