【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第5章 【番外編】騒がしい休日
リナリーは砕けた残骸の上へ、軽やかに着地する。
「……ふぅ。これで一件落着ね」
まだ少し息を弾ませながら、額の汗を拭う。
その堂々とした立ち姿に、私は思わず見惚れた。
「リナリー、すごいわ」
「兄さんの発明を止めるのだけは、得意になっちゃったの」
彼女は少し困ったように笑った。
――その直後。
「リナリーィィィィ!!」
通りの向こうから、聞き慣れた絶叫が響いた。
リナリーの表情が固まる。
「……兄さん」
振り返る。
案の定。
息を切らしながら、こちらへ猛然と駆けてくるコムイさんの姿があった。
「リナリー! 無事かい!? 怪我は!? 変な男に触られてない!? どこか痛いところは!?」
「ちょ、兄さん……!」
コムイさんは勢いそのままリナリーの前へ飛び込み、頭から爪先まで何度も確認し始める。
「良かった……! 僕の可愛いリナリーが無事で本当に良かった……!」
「兄さん」
「ん?」
リナリーの声が、低く沈んだ。
そこでようやく。
コムイさんの視線が、彼女の背後へ向く。
砕け散った石畳。
ひっくり返った露店。
倒れた看板。
そして。
火花を散らしながら横たわる、無残なコムリンの残骸。
「……あれ?」
「兄さん」
「はい」
「あとで、話があるわ」
「……はい」
コムイさんの肩が、目に見えて落ちた。
その少し後ろから。
「室長! 勝手に先に行かないでください!」
リーバー班長を先頭に、科学班とアレンが息を切らしながら駆けつけてくる。
「コムリンが暴走したって聞いて……って、もう終わってる!?」
アレンが砕け散った残骸を見て、目を丸くした。
「さすがリナリー……」
ジョニーが、乾いた声で呟く。
そして。
そのさらに後ろから。
「はぁ……はぁ……マジかよ、あのシスコン室長……!」
息を切らして駆けてきたのは、ラビだった。
こちらの姿を見つけた瞬間。
その翠の瞳が、大きく見開かれる。
「ティファ! 無事か!?」
真っ先にこちらへ駆け寄ってきた。