【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第4章 【番外編】恋人のお弁当は、愛が硬い
「…………」
ラビは片手で顔を覆った。
そして。
「……無理。好き」
崩れ落ちるように、ベンチへ額をつける。
神田が心底嫌そうに息を吐いた。
「重症だな」
「だって見ろよこれ……こんなん、食うしかねぇだろ……!」
「命と引き換えにするほどのもんじゃねぇ」
「愛に理屈なんかねぇさ……!」
結局。
ラビは、弁当を少しずつ口へ運んだ。
圧縮された白米は、水で流し込みながら。
唐揚げは、どうしても噛み切れず、半分で断念した。
粉末状のブロッコリーは、唯一安心して食べられた。
甘過ぎる卵焼きは、任務後の糖分補給だと言い聞かせながら、どうにか二切れだけ飲み込んだ。
全て食べ切ることは、できなかった。
だが。
ラビにとっては、それでも充分な戦いだった。
任務を終えて教団へ戻った頃には、空はすっかり夜へ沈んでいた。
長旅の疲労。
戦闘後の倦怠感。
そして。
ティファ特製弁当との激闘。
ラビは、ふらふらの足取りで食堂へ入った。
「ラビ? 顔色悪くない?」
リナリーが心配そうに眉を寄せる。
ラビは力なく手を振った。
「だ、大丈夫さ……」
全然大丈夫ではない。
腹を壊したわけではない。
けれど、顎が痛い。
そして何より、ほとんど満足に食べられなかったせいで、腹が減っていた。