• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第4章 【番外編】恋人のお弁当は、愛が硬い


「しっかりにも限度があるだろ」

神田が即答した。

ラビは、弁当箱の端から何とか米を少しだけ削り取り、口へ運んだ。

硬い。

冷たい。

食べられないわけではない。

けれど、米というより、携帯用の保存食に近かった。

「……ティファ、どんだけ力込めたんだ……」

「任務中に崩れないよう配慮してくれたんですよ、きっと」

「優しさが物理的に重いさ……」

次に目へ入ったのは、唐揚げだった。

きつね色の表面。

形も悪くない。

香りも、僅かに残っている。

ラビは目を輝かせた。

「これは……いけるかも」

ようやく現れた希望に、ラビは箸を伸ばす。

その時だった。

横から伸びた神田の箸が、ラビの箸先をぴしりと弾いた。

「待て」

「何だよ、ユウ」

「先に確かめろ」

神田は無表情のまま、唐揚げの一つを箸の先で軽く突いた。

――ゴッ。

鈍い音。

沈黙。

廃駅の風が、やけに寂しく吹き抜ける。

神田は、眉間へ深い皺を刻んだまま、ぼそりと呟いた。

「……兵糧丸かよ」

一瞬の沈黙の後。

ラビが、思わず吹き出しかけた。

「っ……やめろよ……! ちょっと分かるのが嫌さ……!」

「笑ってる場合ですか!? ラビ、これ本当に噛めるんですか!?」

アレンが青ざめる。
/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp