【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第4章 【番外編】恋人のお弁当は、愛が硬い
アレンは、その隣で何故か神妙な面持ちになっている。
神田は少し離れた壁際で腕を組み、露骨に面倒そうな顔をしていた。
「……開けるぞ」
ラビが、低く呟く。
「はい」
アレンも、妙に厳かな声で頷いた。
神田の眉間へ、深い皺が刻まれる。
「何の儀式だ」
「恋人の手作り弁当を食べる儀式さ」
「普通に食え」
「普通に食べられるかどうか、まだ分からないんです」
アレンが静かに答える。
「お前ら揃って失礼だな」
神田は呆れ切った顔で吐き捨てる。
ラビは深く息を吸った。
大丈夫。
ティファは本を読んで作ったと言っていた。
今回は、香草を籠ごと投入するようなことはないはずだ。
たぶん。
きっと。
恐らく。
「……よし」
覚悟を決めて、包みを解く。
弁当箱の蓋へ、そっと手を掛ける。
そして。
ぱかり。
蓋が開いた。
沈黙。
冷たい風が、三人の間を吹き抜けた。
まず目に入ったのは、白米だった。
綺麗に四角く詰められている。
崩れもない。
隙間もない。
一見すれば、かなり几帳面に整えられているようにも見える。
「……お」
ラビの瞳に、微かな希望が宿る。
「見た目は普通じゃん?」
「そうですね。前回に比べれば、色も安全そうです」
ラビは恐る恐る箸を伸ばし、白米を一口分取ろうとした。
取れなかった。
「……あれ」
もう一度、箸を差し込む。
押す。
動かない。
ラビが少し力を込める。
――カンッ。
弁当箱の中から、米とは思えない硬質な音が響いた。
「…………」
ラビの笑顔が止まる。
アレンが、静かに弁当箱を覗き込んだ。
「……圧縮されていますね」
「何で米が圧縮されるんさ……」
「崩れないように、しっかり詰めたんでしょうか」