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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第4章 【番外編】恋人のお弁当は、愛が硬い


両手に収まるほどの、淡い色の布で丁寧に包まれた箱。

ラビは首を傾げる。

「それ、何さ?」

ティファは、少しだけ視線を逸らした。

いつもより、僅かに落ち着かない様子だった。

「……その、今日、任務でしょう」

「うん」

「だから……作ったの」

「作った?」

「お弁当」

沈黙。

ラビが固まった。

アレンの手から、資料がするりと落ちた。

蕎麦を啜っていた神田の箸まで、ぴたりと止まる。

数秒後。

「……え」

ラビの声が、微かに裏返った。

ティファは、ほんの少しだけ頬を染めながら、包みを差し出す。

「恋人っぽいことを、してみたくて」

その言葉に、神田の視線が一瞬だけティファの横顔へ向く。

けれどすぐに、何も見なかったように逸らされた。

「……チッ」

小さな舌打ちだけが、誰にも拾われないまま食堂のざわめきに沈む。

その瞬間。

ラビの脳裏へ、鮮やかな緑色の脅威が蘇った。

鍋いっぱいに沈められた香草。

草原の見える胃。

医務室の天井。

死。

ラビの笑顔が、僅かに引き攣った。

向かい側で、アレンが静かに両手を合わせる。

「……ラビ」

「やめろよ、アレン。その顔」

「強く生きてください」

「まだ死ぬって決まってねぇだろ!?」

ティファが不思議そうに首を傾げる。

「……何の話?」

「何でもない! 何でもないさ!」

ラビは慌てて笑顔を作った。

ティファの瞳には、期待と、ほんの少しの不安が浮かんでいる。

恐らく、昨日の夜から一人で頑張って作ったのだろう。

前回の失敗を気にして。

自分に喜んでもらおうとして。

そう思った瞬間。

恐怖よりも先に、胸の奥がどうしようもなく熱くなった。

ラビは震えそうになる手をどうにか押さえ、弁当包みを受け取る。
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