【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第4章 【番外編】恋人のお弁当は、愛が硬い
明日、ラビは任務へ出る。
同行するのは、アレンと神田。
帰りは夜になると聞いている。
なら。
「……お弁当、作ってみようかしら」
真顔でそう呟いた。
頁の中では、綺麗な弁当が美味しそうに並んでいる。
手順通りに作れば、きっと大丈夫。
今度こそ。
ラビに、喜んでもらえるはずだ。
は静かに頷くと、本を抱えて立ち上がった。
夜の教団の厨房へ向かう足取りは、任務へ赴く時と同じくらい真剣だった。
翌朝。
黒の教団の食堂は、任務前の慌ただしさに包まれていた。
ファインダーたちが荷物を抱えて行き交い、科学班の団員たちは眠そうな顔で朝食を口へ運んでいる。
その一角で。
ラビは、任務用の資料を片手に、のんびりとパンを齧っていた。
「今日の任務、早く終わるといいなー」
「油断しないでくださいよ。古い街道沿いに、AKUMAらしき影が出たという報告なんですから」
向かい側で、アレンが真面目な顔で資料を確認している。
少し離れた席では、神田がいつものように黙々と蕎麦を啜っていた。
「分かってるって。けど、帰ってきたらが待ってるし?」
「任務前から浮かれ過ぎです」
「恋人いる奴の特権さ」
「……それ、僕の前で言います?」
アレンが資料から顔を上げ、にこりと笑った。
妙に綺麗な笑顔だった。
ラビは、反射的に視線を逸らす。
「……悪かったさ」
「いえ、いいんです。慣れましたから」
「慣れたって言い方が一番刺さるんだけど!?」
その時だった。
「ラビ」
聞き慣れた声が、背後から届く。
ラビの顔が、ぱっと明るくなった。
「!」
振り返る。
そこには、小さな包みを両手で抱えたが立っていた。