• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第2章 【番外編】恋人の手料理は、森の味


その間にも、ティファは不安そうに三人を見ていた。

「……やっぱり、変?」

小さな声。

その瞬間。

ラビとアレンの動きが、ぴたりと止まった。

駄目だ。

この顔は、駄目だ。

ラビは一瞬だけアレンを見る。

アレンも、静かに目を逸らした。

覚悟を決めるしかない。

ラビはぎこちなく笑った。

「い、いや!? 全然変じゃないさ!」

「そ、そうそう! とても独創的です!」

アレンも引き攣った笑みで頷く。

神田が、信じられないものを見る目をした。

「てめぇら正気か」

「黙ってください!!」

アレンが即座に神田の口を塞ぎ直す。

ティファは、まだ少し不安そうだった。

「……本当に?」

ラビは一瞬だけ、皿の上に盛られた緑色のペーストを見る。

正直。

怖い。

香草の匂いが、もう既に鼻へ刺さっている。

だが。

白いエプロン姿で、期待に満ちた目を向けてくる恋人を前にして、もう後には引けなかった。

ラビは覚悟を決め、スプーンを持ち上げる。

「……もちろんさ」

そして。

一口。

沈黙。

「…………」

ジョニーが固唾を飲む。

リナリーが不安そうに両手を胸元で組む。

アレンは、静かに祈っていた。

神田は露骨に顔を顰めている。

ラビは数秒、完全に硬直した。

口の中へ広がる、強烈な青臭さ。

舌の上で主張する、原型を失うまで磨り潰された香草の繊維。

それでも。

ラビは死力で笑顔を作った。

「……うん」

掠れた声。

「う、美味いさ……」

ティファの瞳が、ぱっと明るくなった。

「本当?」

その顔を見た瞬間、ラビの逃げ道は完全に消えた。
/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp