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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第2章 【番外編】恋人の手料理は、森の味


「何の話?」

深皿を何枚か抱えたティファが戻ってきた。

全員の身体が、ぴたりと止まる。

「な、何でもねぇさ!」

ラビが不自然なほど明るい声を出した。

「そう? 随分楽しそうだったけれど」

「ティファの料理が楽しみだねって話してたんだよ!」

ジョニーも慌てて続ける。

「ええ。とても楽しみです」

アレンが穏やかに微笑んだ。

神田だけが、心底呆れた顔で三人を見ていた。

ティファは少し不思議そうにしながらも、深皿を調理台へ置く。

「では、続きをするわね」

「うん。香草はね、本当に少しでいいから」

リナリーが改めて念を押した。

「このくらいだけ刻んで、最後に香り付けとして――」

「分かったわ」

ティファは頷いた。

そして、香草の籠を手元へ引き寄せた。

リナリーが示した数本ではなく。

籠ごと。

「……ティファ?」

リナリーの声が、僅かに揺れる。

「香り付けなのよね」

「え、ええ。そうだけれど……」

「任務で疲れている皆に食べてもらうなら、香りも栄養も、しっかりあった方がいいでしょう?」

「いや、そこはしっかりし過ぎなくて大丈夫――」

リナリーが止めるより早く。

ティファの包丁が再び閃いた。

――ザザザザザザザッ!!

「ティファ!?」

ラビが叫ぶ。

香草は瞬く間に細かく刻まれ、鮮やかな緑色の山となってまな板の上へ積み上がっていく。

「待って待って! それ全部入れる気!?」

「ええ。身体に良いのでしょう?」

「量の話をしてるんさ!!」

ラビが慌てて駆け寄ろうとした時には、既に遅かった。
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