• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集

第2章 【番外編】恋人の手料理は、森の味


「……皆さん」

「何さ」

ラビが嫌な予感を覚えたように眉を寄せる。

アレンは、真剣な顔で声を落とした。

「次にティファが包丁を持ったら、できれば目を離さないでください」

「なんでそんな切実なんさ」

「昔、ティファがジャガイモの皮を剥こうとして、訓練用のレイピアを持ち出したことがあるんです」

「何で!?」

ジョニーの声が裏返る。

「“薄く削ぐなら、この方が速い”と言って」

アレンは淡々と続ける。

「確かに速かったんですが、皮だけでなく実まで綺麗に削れてしまって……最後には、さくらんぼくらいの大きさになりました」

「怖っ!」

「それから、焼き魚を取り分けようとして、身だけを綺麗に削ぎ落としたこともあります」

「それは成功じゃねぇの?」

ラビが言うと、アレンは静かに首を横へ振った。

「細かくなり過ぎて、皿の上には骨と魚の粉しか残りませんでした」

「料理下手っていうより、全部剣術で解決しようとしてんじゃん!」

ラビが頭を抱える。

神田が鼻で笑った。

「破壊だろ」

「神田、本人の前では言わないでくださいね」

「俺から言う気はねぇ」

「その言い方、聞かれたら普通に答える気だろ!?」

「聞かれりゃな」

「絶対ティファに聞かせるなよ、ユウ!」

ラビが神田を睨む。

アレンは、困ったように小さく笑った。

「ティファも悪気があるわけではないんです。ただ、真剣になるほど加減が分からなくなるというか……」

「それ、料理させて平気なのかよ」

「だから先程、少し迷ったんです」

「もっと強く止めろよ!」

「今度からは、恋人であるラビが責任を持って止めてください」

「急に全部こっちへ押し付けんなよ!」

ラビが声を上げた、その時だった。

厨房の扉が開く。
/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp