【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌- の短編集
第2章 【番外編】恋人の手料理は、森の味
その少し離れた席で。
紅茶を飲んでいたアレンの手が、ぴたりと止まっていた。
白いカップが、かすかな音を立てて受け皿へ戻される。
「……アレン?」
が呼びかけると、アレンは一瞬だけ目を瞬かせたあと、穏やかに微笑んだ。
「いえ。楽しそうで何よりだなと思って」
「アレンも来る?」
「ええ。もちろん」
にこやかな声だった。
けれど、その笑顔を見たジョニーが、何故か小さく身震いした。
「……アレン、なんか妙に落ち着いてない?」
「気のせいですよ」
「そうかな……」
「そうです」
アレンはにっこり笑う。
ラビだけが、僅かに怪訝そうな顔で彼を見た。
「……何か知ってる顔してねぇ?」
「いえ、別に」
「その間が怖ぇんさ」
「夕方になれば分かりますよ」
「……なんだよそれ、余計気になんじゃん!」
は不思議に思いながらも、深くは追及しなかった。
料理が得意ではないのは事実だ。
けれど、リナリーに教えてもらえるのなら、きっと大丈夫だろう。
そんなふうに、まだ素直に考えていた。