第11章 11
「忙しいところすいません。私、そろそろ帰ります。」
「あっ、もう帰られるんですね…。少々お待ちくださいね。」
そういうと安室さんはひと区切りつくまで作業をして、それからレジの方に向かっていった。
私もレジに向かい、お会計をする。
「今日は来てくださってありがとうございます。それに、お年賀までありがとうございました。またいつでもいらしてくださいね。」
「いえいえ、私がしたくてしたことなので!こちらもありがとうございました!新年が明けて安室さんと梓ちゃんの顔を見たら「また今年も頑張ろー!」って思えました。」
安室さんは優しく微笑みながら「僕も…、柚希さんの顔を見れてよかったです。」と言った。
………なっ…!…やっぱり安室さんはずるい…。イケメンに言われると、どうしても甘い言葉に聞こえるマジック…。……はぁ。帰る間際でよかった…。
少し赤くなった顔をごまかすように、梓ちゃんにも「またね。」と声を掛けた。
その後、安室さんがポアロのドアを開けてくれた。
「わっ…、ありがとうございます。ではまた来ます。」
「はい、お待ちしていますね。お気をつけて。」
そういって安室さんは手を振ってくれた。
私も手を振って歩き出す。
すこし歩いたところでポアロのドアが閉まる音が聞こえた。
ドアが閉まる音を聞いた瞬間、先ほどまでの楽しい時間が終わってしまったんだと実感して、少しだけ寂しくなった。