第4章 【第三話】檻と家のはじまり
「食堂は教団で一番大事な場所さ。ここ押さえとけば、任務で疲れて帰ってきても生き返れる」
「随分と力説するのね」
「ジェリーの飯を侮ると後悔するさ」
「ラビは食べすぎなのよ」
リナリーが呆れたように笑う。
間もなく、湯気の立つシチューと柔らかなパンが運ばれてきた。
匙を取り、一口だけ口へ運ぶ。
――温かい。
その温度が、冷えた身体へゆっくり染み込んでいく。
不意に、アレンと食事をした夜を思い出した。
訓練で疲れきった身体のまま、師匠の作った借金について二人で文句を言いながら、安いスープを分け合った日々。
……この味を、アレンにも食べさせてあげたい。
そんな思いが浮かび、匙を持つ手がわずかに止まった。
「……ティファ?」
リナリーが心配そうに呼ぶ。
私は小さく首を振った。
「何でもないの。とても美味しくて……少し、思い出しただけ」
「そっか」
リナリーは、それ以上聞かずに柔らかく微笑んだ。