第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
「ラビと、何かあった?」
胸が、ひゅっと縮んだ。
「えっ」
「なんていうか……ティファを見る時の雰囲気がちょっと違ったから」
そう言われて、顔が熱くなる。慌てて目を逸らした。
「な、何もないわ……!」
リナリーはぱちりと瞬きをして、それから、じわじわと頬を緩めた。
「……ティファ、分かりやすい」
「っ……!」
言葉に詰まる。否定したいのに、診療所でのことを思い出してしまった。
――好きなんさ、お前が。
「〜〜っ……」
堪え切れずに、顔を覆う。
「ふふ。順調そうだね」
「じゅ、順調って……!」
順調なんかじゃない。まだ、答えも返せていないのに。
「……リナリー。落ち着いたら、少し時間もらえる?」
瞬きをするリナリーに、視線を落としたまま続ける。
「話したいことがあって……」
一瞬驚いた顔をしてから、リナリーはすぐに柔らかく微笑んだ。
「もちろん。ティファの話、ちゃんと聞くよ」
迷いのない返事に、胸が少し軽くなる。
「ありがとう」
そう呟いた時だった。
「……あ、いた」
聞き慣れた声に、肩が跳ねた。
入口を振り返ると、ラビが壁に寄り掛かっていた。