第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
翌朝。
雪の降り続く村を出て、私達はクロウリーを連れて教団本部へ向かう汽車に乗り込む。
乗降口の段差で足を止めると、先に乗ったラビが、当たり前みたいに手を差し出してきた。
一瞬、迷う。昨日までなら、何も考えずに取れた手だった。
「……ありがと」
指先だけ借りて、すぐに離す。ラビが少しだけ笑った気がした。
すぐ後ろに、アレンがいた。
ラビの手を借りたばかりの指先が、急に落ち着かなくなる。悪いことなんて、何もしていないのに。
「足元、気を付けてくださいね」
いつも通りの声だった。振り返れないまま頷いて、狭い通路を先へ進む。背中に、アレンの足音が静かについてきた。