第19章 【第十八話】偽物じゃなかった愛~クロウリー編③
Side:クロウリー
崩れた部屋の奥で、私はエリアーデに押さえ付けられていた。
月光が、紫の装甲を冷たく照らしている。異形に変わり果てても、その奥に、見慣れた美しい顔が重なってしまう。
ずっと傍にいたいと願った女だった。
「……エリアーデ……」
血を流しながら、彼女を見上げる。
「愛していたのに……初めてお前を見た時から、ずっと……」
エリアーデの動きが、一瞬だけ止まった。
「お前に惚れていた私を……敵ならば、どうして殺さず……今まで傍にいたのだ……」
エリアーデは一瞬黙り込んで、すぐに吐き捨てるように笑った。
「だから、利用したって言ってるでしょ。やってみたいことがあったのよ。そのために、正直ずっと、あんたを殺すの我慢してたの……」
目の前が、暗く沈んでいく。
血塗れのまま、私はゆっくりと立ち上がった。
「……そうか。お前は、本当にAKUMAなのだな……」
小さく俯いて、それから顔を上げる。もう、迷いはなかった。
「私もずっと――お前を殺したかった!!」
床を蹴った。獣のような速さでエリアーデへ迫り、肩口に牙を突き立てる。
そのまま振り払うように投げ飛ばし、砕けた壁際へ叩き付けた。