第3章 【第二話】次へ繋ぐ手
アレン・ウォーカー。
今の彼は、時に私を追い越すほどの逞しさを、その背中に宿している。
柔らかな物腰の奥に、折れない意志を抱え、傷つきながらも誰かのために前へ進み続ける人。
けれど、初めて出会った頃の彼は――触れれば粉々に砕け散ってしまいそうなほど危うい、孤独な欠片だった。
師匠が彼をマザーの屋敷へ連れ帰った、あの夜。
私はまだ、彼の名前も。
彼が何を失ったのかも。
あの赤黒い左腕が、どれほど深い罪と痛みを背負っているのかも知らなかった。
少年の名を知ったのは、翌朝のことだった。
アレン。
それが、彼の名前だった。