第10章 【第九話】空白の再会
――あれから、いくつかの任務を越えた頃。
ラビとの間には、あの朝から生まれた薄い距離が、まだ残ったままだった。
顔を合わせれば、彼はいつも通り笑い、必要な言葉も交わす。けど、本を勧めてくれることも、自分から隣へ来ることも、もうなくなった。
私も、その一歩をどう埋めればいいのか分からないままだった。
そんな折、新しいエクソシストが本部へ配属された、と団員たちが話していた。
聞こえてきた名前に、思わず振り返った。
……やっと、来たんだ。
懐かしい呼び名が、無意識に喉元まで込み上げて――私はそれを飲み込んだ。
でも、すぐには会えなかった。
同じ本部に所属しながら、私たちの任務は噛み合わなかった。私が帰還した頃には、彼はもう次の任務へ向かっていて、彼が戻る頃には、今度は私が別の地へ発っている。
誰かの口から聞く彼の話は、どれも断片ばかりだった。神田と反りが合わないとか、食堂で山ほど料理を平らげていたとか。
どちらも、あの子らしかった。
一度も顔を見られないまま時間だけが過ぎていくことが、思っていた以上に苦しかった。
その空白は、思いもしない形で終わった。