第8章 【第七話】肩を並べる約束
「ラビ、私は戦える!」
「知ってる! いーから下がれ!」
「何を――」
左手の吹雪が、大きく揺れた。
三体目のAKUMAが、低くこちらへ迫ってくる。
私は咄嗟に身を翻し、突き出された砲身をレイピアで受け流した。光が弾ける。
そのまま片方の刃で砲身を払い、もう片方を核へ向けて突き込もうとした。
「ティファ!」
ラビが強引に間へ割って入った。
大槌がAKUMAの身体を弾き飛ばす。その一瞬の隙を狙うように、吹雪の奥から別の弾丸が飛来した。
「ちっ……!」
ラビは咄嗟に大槌を引き寄せる。
黒い弾丸が、金属音を響かせて大槌の表面で弾かれた。逸れた一発が足元の凍った地面へ食い込み、氷と石の破片が肩口へ跳ね上がる。
黒い団服が裂け、白い雪の上へ鮮やかな赤が散った。
「……ラビ!」
「平気さ!」
そう言った肩が、槌を握り直す時だけ僅かに強張ったのを、私は見逃さなかった。
吹雪の向こうでは、まだ幾つもの駆動音が響いている。
「下がってろ。残りはオレがやるさ」
ラビは傷ついた肩を庇いながらも、再び槌を振り抜いた。
迫っていたAKUMAの身体が雪煙を上げて吹き飛び、吹雪の向こうへ転がっていく。
吹雪の奥で、駆動音が束の間遠のいた。