第52章 【第四十七話】欲しかった言葉
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翌朝。
リハビリから戻る途中だった。
廊下の先、資材が積まれた角の向こうに、赤い髪が見えた。
ラビは資料の束を抱え、科学班の誰かと話しながら歩いてくる。
とっさに、手前の柱の陰へ寄った。
……何をしているんだろう、私は。
隠れる理由なんてない。
ただ、この距離で目が合って、どちらも何も言えなかったらと思うと、足が動かなかった。
ラビは、科学班の人と話しながら交差する廊下をそのまま通り過ぎていった。
こちらへ曲がってくることはなかった。
角からそっと顔を出す。
その背中は、もう遠ざかり始めていた。
……気づかなかったみたい。
ほっとした。
そのはずなのに。
胸の奥には、同じくらいの寂しさが残った。