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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第51章 【第四十六話】かたちにならないもの


Side:ティファ

ラビが医療班に連れて行かれた後、一人になると廊下は急に広く感じた。


足元を確かめながら、ゆっくり先へ進む。

さっきまで隣にあった足音がなくなったせいか、行き交う人の声まで少し遠く聞こえた。




崩れた区画へ続く通路の手前まで来た時、煙草の匂いが鼻を掠めた。


足が止まる。



「……師匠?」

顔を上げた。


赤い髪。
白い仮面。

長い外套。

通路の壁際に、クロス元帥が立っていた。


煙草を咥えたまま、瓦礫の撤去が進む区画を眺めている。



その少し離れた場所には、黒い制服の男が二人。

こちらを見ているわけではない。けれど、確かに師匠の動きを追っていた。


――中央庁の監視。

そう気づいて、足が少し重くなる。


「もう歩けんのか」

師匠がこちらを見ないまま言った。


「ええ。だいぶ良くなりました」

「そうか」

それだけだった。



私は数歩近づき、隣へ立つ。


聞きたいことはいくつもあった。

師匠は方舟やアレンについて、どこまで知っているのか。

私の歌について。
母について。

けれど、いざ隣へ立つと、何から聞けばいいのか分からなかった。


先に口を開いたのは、師匠だった。

「中央庁へ呼ばれた」


「……いつ?」

「今日だ」

師匠は煙草を口から離し、ゆっくりと煙を吐いた。


「いつ、戻るんですか」

「さあな」

答えになっていなかった。


思わず横を見る。

師匠は相変わらず前を向いている。


遠くで、資材を運ぶ掛け声が聞こえた。



しばらくして。




「お前の親父は」

唐突に、師匠が言った。


「元ファインダーだった」



「え……?」



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