第50章 【第四十五話】『守る』というかたち
それから、さらに数日が過ぎた。
声の掠れは残っていたものの、会話に困ることは減っていた。
病室にいると、一日中どこかで音がしている。
何かを運ぶ音。
壁を壊す音。
誰かを呼ぶ声。
壊れた本部を片付ける音だった。
朝の検温の後、婦長さんが体温計を受け取りながら言った。
「今日から、短い時間なら病棟の外を歩いてもいいわよ」
「――えっ、いいんですか?」
思わずベッドの上で身を乗り出す。
「ええ。ただし、しんどくなったらすぐに戻ること」
「はい」
婦長さんは、私の顔をじっと見た。
「……その返事、ラビと同じ顔で言ってるわよ」
――せめて、もっとましな人と比べてほしかった。