第50章 【第四十五話】『守る』というかたち
面会時間が終わり、ラビが帰っていく。
扉が閉まった。
静かになった部屋で、さっきのラビの顔を思い出す。
『そんな急がなくてもいいだろ』
あの声を思い返しているうちに、別の小さな違和感まで蘇った。
『声が戻ったら、また歌いたい』
そう書いて見せた時も、ラビの返事は僅かに遅れた。
もしかして。
ラビは、私がまた歌うことを怖がっているのだろうか。
歌が暴走して、あの時みたいになるかもしれないから。
――違う。
そうじゃない。
きっと、心配してくれているだけだ。
『二度と声が戻らなくなるかもしれない』
あの言葉を、私より重く抱えているだけ。
そう思うことにして、私はボードを伏せた。
手は、なかなか離れなかった。