第50章 【第四十五話】『守る』というかたち
Side:ティファ
数日が過ぎた。
声はまだ少し掠れていたものの、日常の会話なら途切れずに続けられるようになっていた。
「ねえ」
「ん?」
「ヘブラスカにイノセンスを見てもらうことになったの」
ラビの手が止まる。
コップを持ったまま、ほんの僅かに動かない。
「……ヘブラスカに?」
「ええ。私のイノセンスも進化したみたいだから、状態を見ておきたいって」
「……ふーん」
それだけだった。
さっきまで軽口を叩いていた口元から、笑みが消えている。
「発動に問題なければ、鍛錬も本格的に戻していいって言われたわ」
「……そっか」
「任務に戻るのは、まだ先だと思うけど――」
「そんな急がなくてもいいだろ」
遮るような言い方だった。
私は瞬きをする。
ラビは自分でも気づいたらしく、すぐにいつもの調子へ戻った。
「いや、ほら。こんな休めんの、そうそうねーだろ? せっかくなんだからさ、もーちょい寝てりゃいいのに。オレならそうするさ」
「……ラビも、休んでないでしょ」
「ん?」
「私のところに毎日顔出してるじゃない」
「オレにとっちゃ、お前の顔見てんのが一番効くんさ」
あっさりと言われた。
「……」
「何さ、その顔」
「なんでもない」
顔が熱いのを見られないように俯く。
本人は、何でもないことみたいな顔をしていた。