第50章 【第四十五話】『守る』というかたち
レベル4が出た。
次はもっと強い敵が現れるかもしれない。
リナリーは変わった。
ティファにも新しい形が出た。
アレンのイノセンスも進化している。
このままじゃ、オレだけがずっと同じ場所に立ったままだ。
それだけじゃない。
中央庁が、またティファへ何か名前をつけたら。
聖女。器。救済の道具。
何でもいい。
そう呼んで、あいつを連れて行こうとしたら。
オレに何ができる。
あいつが連れていかれるのを見届けて。
その事実を記録するだけか。
……冗談じゃねぇ。
手元の報告書を、机の端へ押しやった。
今日整理した分だけを揃える。
手を離したところで、また婦長の言葉が蘇った。
――二度と声が戻らなくなるかもしれない。
同時に、ほんの一瞬だけ安堵した自分まで思い出す。
これを知ったら。
あいつは、どんな顔する。
ランプを消し、資料室を出た。
廊下は静かで、遠くから移転作業の音が微かに聞こえる。
皆、新しい場所へ動き出している。
ティファも、そのうち動き出す。
声が戻って。鍛錬に戻って。任務に戻って。
また戦場に立つ。
エクソシストである限り、それは避けられない。
逃げ道があったところで、あいつはそっちを選ばねぇ。
そういうやつだ。
――この先も、あいつが生きて帰ってくる保証はねぇ。
ティファの病室の前を通る。
扉の下から明かりは漏れていなかった。
オレは足を止めなかった。