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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第50章 【第四十五話】『守る』というかたち



その夜、医療棟を離れたオレは、そのまま資料室へ戻った。



机の上には、紙が積み上がっている。

襲撃の記録。
死者名簿。
破壊された区画の見取り図。

レベル4についての報告。


じじいが療養している間、記録の整理はお前がやれ――そう言いつけられていた。

寝台の上から指示だけは飛んでくるのだから、あの老人も大概だ。


死者名簿を一枚、二枚と確認する。

次の頁へ手を掛けたところで、指が止まった。



――最悪の場合、そのまま戻らなくなる。

また、婦長の声が蘇る。



声が戻らなけりゃ、歌えねぇ。
歌えなけりゃ、イノセンスは使えねぇ。

そうしたら。


教団だって、今までみたいにあいつを戦場に出せなくなる。



胸のどこかが、ほんの僅かに緩んだ。



……。


待て。

今、オレ、何考えた?



背中が冷えた。



ティファの声だ。

あいつが、あんなに取り戻したがってた声だろ。


ほんのさっき。
名前を呼ばれただけで、馬鹿みてぇに嬉しかった。

その声が戻らねぇかもしれねぇって言われて。



オレは今――安心したのか?



「……クソ」

小さく吐き捨てる。


一瞬だ。
そう思っちまっただけだ。

誰にも言わなけりゃ――なかったのと同じだ。


そう言い聞かせ、次の束を手に取った。

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