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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第50章 【第四十五話】『守る』というかたち



頬を包んでいた指が、ぴくりと震えた。



唇が離れる。

近すぎるところで、翠の瞳が私を見ていた。

「……もう一回」


「え……?」

「呼んで」


「……ラビ」

ラビは目を伏せ、長く息を吐いた。


「……やべ」

困ったように笑う。

「……思ってたより、くるな。これ」


頬から手は離れない。
そのまま、また唇が触れた。


今度は深くならなかった。

惜しむように、柔らかく。



ようやく離れても、私はまだラビの肩を掴んでいた。


「……なに……?」

ラビは何も言わず、私の顔を見ていた。


「……もっと先までしたことあんのにな」
「――っ!? ラビ……!」

「なんで今さら、キスだけでそんな顔すんの」

胸を叩こうとした手を捕まえられ、そのまま指を絡められる。

「み、見ないで……」

「無理。……かわいい」

「もう……っ」

顔を逸らした。


繋いだ手は離れない。

笑っていたラビの指が、絡めた私の手をゆっくり撫でる。


「……ティファ」

「……?」

「……久しぶりだったからさ。こうやって触れんの」

指先が少しだけ強く絡んだ。


「……触っていいのかも、分かんなくなってた」

私は繋いだ手を握り返した。


何か返したかった。
けれど、今の喉に載る長さじゃない。

だから、代わりに空いた手でメモ帳を引き寄せた。


【私も】
【ずっと、こうしたかった】

ラビが黙る。


目を逸らしてまた私を見た。

「それ、ずりぃ。……今それ言うの」

思わず笑った。
まだ少し掠れた、小さな笑い声。

ラビはしばらく私を見ていた。



「……やっぱ、いいな」

「え?」

「声」

繋いだ手が少しだけ強くなる。


ラビがもう一度、唇を重ねた。

ほんの短く触れた唇が、名残惜しそうにほどける。



繋いだ手だけは、そのままだった。


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