第49章 【第四十四話】灰に咲く白百合
レベル4が嗤う。
凍りついた身体のまま、軋む音を立てて指先を動かそうとしている。
「このぼくが」
「このくらいで、こわされるわけ、ないでしょうッ」
亀裂から漏れていた白銀の光が、急速に細くなった。その奥から魂を押し潰すように、闇色の力が膨れ上がる。
クロスは眉一つ動かさなかった。
「いいや」
引き金へ、指を掛ける。
「お前は、ブッ壊れんだよ」
――ドォン!!
巨大な光弾が、レベル4の胴を撃ち抜いた。
続けざまに二発、三発と、同じ場所へ光弾が叩き込まれる。
「――ガァァァァァッ!!!」
白い身体が、内側から歪に膨れ上がった。
クロスは煙を吐き出す。
「一発は、教団の連中の分ってことにしてやろう。一応な」
僅かに笑みを深めた。
「で、残りは――オレの服を台無しにした分だ」
「は――っはっはっはっはっ」
…………。
……相変わらず、ロクでもない。
頭上で、ラビが小さく噴き出した気配がした。
「……お前の師匠、ほんとブレねぇさ」
その時。
「……ぁ……ァ……」
凍りついていたレベル4の腕が、再び震え始めた。膨れ上がった力が、掛けられた支配を内側から捩じ切っていく。
アレンは咄嗟に退魔ノ剣を引き抜き、後方へ跳び退った。
――ドンッ!!
レベル4が床を蹴る。
裂けた羽を軋ませ、崩れた天井へ向かって一気に上昇した。
逃げるつもりだ。
アレンが左腕を振るうと、白いマントの端が帯となって伸び、レベル4の胴へ巻き付いた。
「はなせ、はなせぇッ!!」
白い腕が、帯を引き千切ろうと暴れる。
だが、その先にも逃げ道はなかった。
吹き抜けの上層。
崩れた柵の上に、大柄な影が腰掛けている。
ソカロ元帥。
その隣には、異形の獣を従えたクラウド元帥が立っていた。