第49章 【第四十四話】灰に咲く白百合
刃が、先ほど光槍に貫かれた肩口の亀裂へ食い込んだ瞬間、その奥から白銀の光が噴き上がった。
ティファがこじ開けた亀裂へ、アレンの一撃が重なる。
外から叩き込まれた力に、内側の魂までが応える。
白い装甲が、亀裂を起点に大きく裂けた。
轟音とともに、レベル4が床へ叩き落とされる。
「やったか……!」
ラビが顔を上げた。
だが、ティファは息を詰めたまま、瓦礫の中へ沈んだ白い身体を見つめていた。
まだ、終わっていない。
喉元の紋章が、そう告げている。
「クスクスクスクス……」
瓦礫の奥から、笑い声が漏れた。
ひび割れた顔が、ゆっくりと持ち上がる。
崩落区域へ凄まじい殺気が溢れ出した。
床が軋み、空気が重く沈む。
亀裂の奥から漏れる白銀の光は、内側の鼓動へ合わせるように明滅していた。
その身体の奥では、ひとつの魂が悲鳴を上げ続けている。
アレンが左目を押さえた。
「っ……ぁ……!」
ティファの喉元でも、紋章が疼く。
苦痛。
憎悪。
恐怖。
押し潰された声が、一度に流れ込んできた。
レベル4の姿が消える。
空中に、白い残像だけが引かれた。
アレンの目前へ現れたその顔を、横から飛び込んだリナリーの蹴りが真下へ弾き飛ばす。
「はぁぁぁッ!!」
その先で、アレンが退魔ノ剣を振り上げた。
床へ縫い止めようと振り下ろされた大剣を、レベル4が両の掌で挟み受ける。
――ギィィィン!!
「ふ……」
ひび割れた顔が嗤った。
「ざんねんでした」
アレンは刃を押し返されながらも、笑い返す。
「どうかな?」
レベル4の瞳が、大きく見開かれた。
「はぁぁぁぁぁッ!!」
落下してきたリナリーが、退魔ノ剣の柄へ降り立った。
――ドォォォン!!