第49章 【第四十四話】灰に咲く白百合
ティファも神田の横へ踏み込み、白い腕へ二本のレイピアを交差させた。
二人分の力で押し返そうとする。
それでも、重い。
圧倒的だった。
イノセンスを持たない神田とラビ。
剣を振るうことさえままならない自分。
今の三人では、まともに渡り合うことすらできない。
腕が震える。
力を込めようとしても、指先から抜けていく。
――力が……っ。
――お願い、動いてよっ……!
「よわいねぇ」
レベル4が、くすくすと笑う。
「みんな、こわれそう」
白い姿が消えた。
次の瞬間、レベル4は神田とティファの間へ入り込み、両腕を左右へ振り抜いていた。
ゆっくり見えたのは錯覚だった。
実際には、目で追うことすらできない速さだった。
衝撃は音より先に来た。
気付けば、ティファと神田は反対方向の壁まで吹き飛ばされていた。
遅れて、轟音が追いついてくる。
ティファの呼吸が止まり、脇腹へ激痛が走った。傷が完全に開き、鮮血が白い上衣を染めて床へ落ちていく。
「っ……ぅ……!」
片方のレイピアを床へ突き、震える腕で身体を起こそうとする。
反対側では、神田も刀を支えにしながら、瓦礫の中から身を起こしていた。
「こわれる」
「……っ!」
ティファが顔を上げた時には、レベル4がすぐ目の前に立っていた。
くすくすと笑いながら、白い腕を振り上げる。
――やられる……っ。
残ったレイピアを持ち上げようとしても、腕は震えるばかりで、切っ先が上がらなかった。
白い腕が、ティファの頭上へ振り下ろされる。
――ギィン!!
横合いから叩き込まれた鉄槍が、その腕を弾き、軌道を外へ逸らした。
「離れろ!!」
ラビだった。
レベル4の顔が、ゆっくりとラビへ向く。
直後、もう一方の腕が横薙ぎに振るわれた。
――ドォン!!
「――ッ!!」