第42章 【第三十七話】声なき再会
Side:アレン
静寂が落ちた。
アレンの腕の中で、ティファは動かない。
先ほどまでラビが抱いていた身体が、今は自分の腕へ預けられている。
軽い。
温かいのに、力がない。
落ちていく直前、ラビは迷いもなくティファをこちらへ押し出した。
その意味が、嫌というほど腕へ残っている。
絶対に、落とすな。
絶対に、死なせるな。
「ラビ……チャオジー……」
リナリーの震える声が、崩れた床の縁へ落ちる。
返事はない。
砕けた瓦礫が、指の間からパラ、と零れる音だけがした。
その静寂を破ったのは、場違いなほど軽い声だった。
「会うのは何年ぶりでしょうかネェ♡」
千年伯爵が、ゆっくりとクロスへ視線を向ける。
「よぉ」
クロスは、煙を吐き出した。
「相変わらずパンパンだな、このデブ。貴様のトロいしゃべりに付き合う気分じゃない。冷やかしなら出ていけ」
「『出ていけ』? これはこれは! ここは我輩の方舟ですガ♡」
「捨てたんだろ。――『14番目』に呪われた日からな」
空気が、張り詰めた。
伯爵の笑みが、深くなる。
「やはり……貴方でしたカ♡ あの男、『14番目』に資格を与えられた――『奏者』ハ♡」
奏者。
その響きに、アレンの胸の奥で、何かが引っ掛かった。
知らないはずの言葉なのに、妙に近かった。