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彼女はボクに発情しない

第8章 北風と太陽による諧謔曲


「お姉ちゃんの教え方すっごい分かりやすい」
「あら、そう?」
お姉ちゃんは照れたように笑った。
「陽兄が独り占めしているなんてずるいなー・・・」
本当に、陽兄が羨ましい。私も教えて欲しい。
「そ、そうかな・・・。」
陽兄の名前を出した途端に、お姉ちゃんの表情が曇った。やっぱり何かあったのかな?

私は自分で言うのも何だが、竹を割ったような性格というか、とにかくまどろっこしいことがあまり好きではない。陽兄には、『竹を割ったような、と言うか、割った竹を粉砕するタイプ』と訳の分からない言われようをして喧嘩したこともある。・・・まあ、偶にやりすぎるから?かも知れないが・・・。

なので、どストレートに聞いてみた。

「お姉ちゃん・・・、陽兄と喧嘩した?」
「え?・・・や・・・あの・・・それ・・・」
わかりやすくうろたえる。
「やっぱり、陽兄が何か悪いことしたのね!?私がぶっ飛ばしてくるからね!安心して!」
腕まくりして立ち上がろうとした私を、お姉ちゃんが慌てて止める。
「ち、違うの・・・陽太は悪くない・・・の」
お姉ちゃんは正座したまま、ボソボソ言う。やや右下をうつむいて顔を上げてもくれない。
お姉ちゃんの様子もおかしい・・・。

「え?だって・・・陽太が家でもものすごく狂ってて・・・あれはきっと、いつものバカトンチキなことをしでかして、お姉ちゃんを悲しませたに違いないと・・・」
思ったんだけど・・・違うの?
私は取り合えず、もう一度座りなおす。

「狂って・・・って?陽太が?」
お姉ちゃんがやっと顔を上げてくれる。
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