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彼女はボクに発情しない

第8章 北風と太陽による諧謔曲


☆☆☆
連絡勝手に、ダメ、絶対!

陽兄からは何度も釘を差された。

「とは、言ったもののね・・・」

気になるのだ。いったい、お姉ちゃんと陽兄との間で何があったのか。

昔から、陽兄は世話が焼けるヤツだった。
妹の私からしても、全くイケてない。勉強ダメ、スポーツダメ、容姿もまあ並という、いいところを探すのが難しいような兄だ。

ただ・・・悪い人間じゃない。
これだけは言える。私も、口ではあんな感じだが、本当は陽兄のことが結構好きなのだ。
そして、もちろん、優しくて可愛らしいお姉ちゃんも大好きだ。
だから、お姉ちゃんと陽兄が何かトラブってるなら、なんとかしてやりたいと思っている。

連絡するのはまずいとしても、直接行くならいいかしら?
お隣だしね。

少し考えて、『試験前だから勉強教えて』ということにしてみた。実際、わからない所あるし、一石二鳥よね。

もう、夜も9時を過ぎていたので、若干遠慮したものの、思い切ってメッセージを入れてみることにした。すぐに「いいよ」と帰ってきたので、いそいそと隣に伺うことにする。

お母さんにはお姉ちゃんに勉強を教わりに行く、と断った。うちとお隣は兄弟にみたいに仲良しなので、全く問題ないようだ。「あんまり遅くならないようにね〜」とのんきに送り出してくれた。

「こんばんわ」
挨拶する。お姉ちゃんが玄関まで迎えに来てくれた。
薄めのネイビーブルーに白の細かいボーダーが入ったルームウェアに黒の7分丈のロングパンツをあわせている。飾らない感じのお姉ちゃんによく似合っている。

お姉ちゃんの部屋は二階だ。この家はうちとほぼ作りが同じで、お姉ちゃんが使っている部屋は我が家では陽兄が使っている。間取りは同じだが、内装は全く違う。なんだかいい匂いもするし、ここまで住む人によって変わるものかと驚愕する。

数学でわからないところがある、と言うと、丁寧に教科書に沿って教えてくれた。かなり分かりやすい。この分かりやすい専属家庭教師が毎試験ごとについているということか・・・。
陽兄が自分のレベルに全く合っていないだろう高校に行って、なんとかなっている理由を垣間見た気がする。
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