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彼女はボクに発情しない

第7章 日々を飾る伴奏曲


【Accompaniment for wonderful days】

今日、やっと陽太が学校に来られて、一安心した。

前回、大雨が降った日、『発情』した私を助けるために駆けつけた陽太は、その後、40度近く発熱し、3日間学校を休んだ。

実は、例のカラオケに行こうという約束は陽太が休んで2日目だったのだが、「陽太が居ないなら」とお流れになってしまっていた。

これはこれで実は私としては安堵してしまっていた。

よく知らないクラスメートと陽太抜きで遊びに行くというのは、私のコミュニケーション能力を著しく超えたイベントなのである。

そして、安堵したと同時に、陽太の人気を改めて思い知ったという事件でもあった。陽太はどこか人数合わせで呼ばれたと思っているようだが、私としては、むしろ陽太が中心なのではないかと思っているくらいだ。

週が明けて、月曜日、やっと陽太が現れた。この間、私はいつも以上に警戒して男性には近づかないように、『発情』しないよう最新の注意を払っていた。陽太が居ても警戒するのには違いないのだが、やはり安心感が断然違う。朝、彼が迎えに来てくれて、その姿を見ただけで冗談抜きで泣きそうなほどホッとした。

ただ、素直じゃない私は、朝、陽太から「ボクが居なくて寂しかったんじゃない?」と軽口を叩かれて動揺し、「そんなことない」とふいっと顔を背けてしまった。

本当に、自分が嫌になる。

幸いなことに、陽太にとって私のこの態度は取り立てて珍しいことではないようで、「まあいいですよー」とおちゃらけて受け流してくれた。

そんな彼を見てついた安堵のため息が、彼から見えやしないかと、心配になってしまう。

ところが、その日、再び事件が起こった。
大槻さんと笹本さんが、「期末試験が終わったらこんどこそカラオケに行こう」と陽太を誘ったのだ。陽太としては先日とおなじように「さんも誘っていいなら」と言う。

しかも、今度はカラオケだけではなく、試験休みの日、1日中使って遊ぼうとなってしまった。

はっきり言って私には、ハードルが高い。

陽太に懸命に目で訴えたが、わざとなのか気づかなかったのか、聞き入れてはくれなかった。

そうして、再びくだんの5人組で遊びに行く話がまとまってしまった。
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