• テキストサイズ

彼女はボクに発情しない

第26章 狂おしき愛の追想曲


冥界の安楽が僕を包む。このまま、それに任せれば幸せになることは明白だった。柔らかな光が僕を包み込む。このまま溶けてしまいたくなるほどの幸福感だった。

だが、僕は、再び立ち上がった。あえて選んだのだ。修羅の道を。
そう、への愛が僕を再び現世に引き戻した。

目が覚めた僕が最初に着手したこと、それは陽太の抹殺計画だ。

あいつがいるからいけない。いや、あいつの汚れた手がに触れるなどあってはならない!!

部屋にあった最も身近な凶器を僕は手にした。

金属バット

脳漿を・・・ぶちまけろ!!!

だが、やつは異常にすばしっこかった。何度か隙を突こうとするが、殺気を感じるやするりと逃げやがる。一度は公園の隅に追い詰めて金属バッドを振るいあげるところまではいった。

「殺った!」

思った瞬間、恐ろしい俊敏さで奴は身をかわし、かわりに僕のバッドはものすごい勢いでブロック塀にぶつかった。その衝撃で手が痺れ、やつを取り逃がす。

ちっ!

次はねえぞ、と逃げる陽太を睨みつけていた時、生涯で二度目の、そして、最大の衝撃が僕を襲った。

「お兄・・・ちゃん」

後ろから声がした。この声は・・・。
恐る恐る振り返ると、僕が385番目に好きな服を着たが立っていた。
目を見開き、右の瞳から涙がこぼれていた。

涙は太陽に照らされ、ダイヤモンドのように輝いていた。そのまますーっと顎まで滑り、地面にぽたりと落ちた。

「もう・・・もう・・・やめて」
ついで左の目から、そして、また右の目から。あふれた涙が止まらない。

ガクガクと足が震える、僕は金属バッドを取り落とし、後ずさった。

「みんなに、迷惑かけないでって・・・言ったのに・・・。」
「ち・・・ちがう・・・違うんだ!」

誤解しないでくれ、僕は、僕はお前のために、お前だけのために!!!
思ったが、声が震えていた。僕の心はとっくにわかっていたのだ。は・・・怒っている。

「やめて!!」

これまで聞いたことがないの叫び。僕は心臓が止まるかと思った。
/ 294ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp